●人と鉄との出逢い
私たちの先祖はいつ頃から、金属を使うようになったのでしょうか。それは今からおよそ7000年程前とも言われています。最初に発見されたと言われる金や銅は、鉄と違って自然にできた塊です。金や銅(自然銅)のように手を加えなくても使える金属は、石で叩く等の細工をして使われたのでしょう。そのうち、火の中で銅がとけることを偶然発見した人々は、赤銅鉱から銅をとることを始めます。しかしそのためには、800度以上の温度が必要です。たき火の温度が600〜700度ですから、当時の人々は炉をつくって、空気が入りやすく熱を逃がさないようにして加熱して銅をとりだしたと予測されています。
さて、鉄はいつ頃から使われ始めたのでしょうか。人が始めて出逢った鉄は、“いん鉄”だったかもしれません。いん鉄は宇宙から地球に落ちてきたとても堅い鉄です。いん鉄をたたいたり伸ばしたりしてつくった剣も残っています。鉄は宇宙から来るものだ、と思った古代エジプトの人々は、絵文字で鉄のことを「天の金属」として描いています。鉄の作り方についても、最初は鉄鉱石に熱が加わり鉄に変っていることにたまたま気付いたのかもしれません。そこから試行錯誤が始まり、鉄づくりの技術が磨かれていきます。最初に鉄づくりが栄えたのは、紀元前1400年ごろ、アナトリア(今のトルコあたり)にあったヒッタイトという国だと言われ、ヒッタイトは鉄の短剣ややり、戦車で、まわりの国をつぎつぎに征服していきました。
●鋼をつくる
私たちの暮らしを支える鉄は炭素との合金の鋼です。その炭素分の量によって、鉄にはいろいろな名前がつけられています。
● 練鉄(れんてつ):炭素分をほとんど含まない鉄
● 鋼(はがね):炭素が0.1〜1.7%ぐらい含まれている鉄
● 銑鉄(せんてつ):炭素が1.7%以上含まれている鉄
含まれる炭素が増えると、鉄はかたくなりますが、そのぶんもろくなってしまいます。逆に、炭素が少ないと、やわらかく、ねばり強い鉄になります。そこで、針金のように簡単に曲がる鉄や、ナイフのようにかたい鉄ができるのです。練鉄は針金よりも柔らかいので刃物には使えません。
鋼は、れん鉄より炭素分の多い鉄なので、れん鉄に炭素を加えれば鋼ができます。そこで、れん鉄に炭素を加えて鋼にかえる「浸炭法」という技術が生まれました。れん鉄をたたいて刃物の形にしておいてから、木炭の中で熱し、それをハンマーで叩きます。すると、木炭に含まれている炭素が刃物の表面にしだいにしみ込んでいき、その部分が鋼に変ります。
銑鉄のなかの炭素を少なくすると、かたさとねばり強さをもった鋼になります。製鉄所では、高炉でできた銑鉄を転炉に移し、このなかに酸素を吹き込むことによって、銑鉄の炭素を燃やし、鋼をつくります。吹き込む酸素の量や時間によって、いろいろなかたさの鋼ができます。
●鉄についてのクイズ
Q1.金属には、鉄をはじめ、金、銀、銅、鉛、亜鉛、スズ、アルミニウム、ニッケルなどたくさんの種類がありますが、私たちが使ってい る金属のうち、鉄の使用料は?
(ア)50%以下 (イ)50〜70% (ウ)70〜90% (エ)90%以上
Q2.世界で最も優れた“刀”として有名なのは?
Q3.鉄の主原料は?
Q4.1トンの鉄をつくるのに必要な鉄鉱石と石炭の量は?
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