衛生用紙の動向について



● 衛生用紙と原料資源の問題について


[木材資源]


最近、地球の環境保護の問題が叫ばれているが、世界の森林は毎年45億立方メートルの樹木が自然成長しているといわれている。その中で、我々が新聞用紙とか印刷用紙とかいろいろな紙や板紙(ダンボール)の原料として使っているパルプ材は全世界で約4億立方メートルと一割にも達していない。また、日本では廃材とか間伐材といわれる不用の木材を製紙原料として有効活用しており、大きな丸太をそのまま消費しているわけではない。
(4億立方メートルの木材資源と循環古紙を原料として全世界で2億4千万トンの紙・板紙を生産している。
日本では約2千8百万トンの紙・板紙が生産されているが、衛生用紙はその約5%で1.5百万トンである)

他方、今、地球上の森林資源は、実に年間17億立方メートルが発展途上国で燃料として燃やされており、さらに焼畑耕作などによって森林が減少していることが問題になっている。紙が原料としている木材の伐採が地球環境を破壊しているような見方をされているが、先進国の紙パルプ産業は積極的に植林を進め、森林を増やす努力をしている。

森林資源は石油や石炭と違い、再生産のできる永久循環の資源なので、世界の人々が正しく対処すれば将来にわたり、不安のない理想的な資源といえる。


[古紙資源]


我が国は世界で古紙の再生利用率が、最も進んでいる国の一つで、1990年には50%の古紙が紙、板紙の原料として利用されている。また1991年にはリサイクル法が成立し、資源再利用運動が盛んになっている。
日本製紙連合会では「リサイクル55」運動を推進しており、この運動は1年後の1994年には古紙利用率を55%まで高めようというもので、資源の有効利用と併せて紙ゴミの発生量の減少にも役立っている。


● 日本におけるティシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオルの利用状況


(1)ティシュペーパー


我が国のティシュペーパーは世界一の消費量であり、1992年の国民1人当り1年間の使用量は、約4kgで200Wカートンに換算すると約16カートンになる。アメリカ人の1人当りの年間使用量は1.21kg(約5カートン)であり、日本人はアメリカ人の3.3倍のティシュペーパーを使っていることになる。


(2)トイレットペーパー


日本は日常生活でトイレットペーパー(ちり紙を含む)の普及度が世界で最も進んでいる国の一つである。
消費者の実態調査の結果を見ると最近どんどん増えている2枚重ねのロールは、1枚のロールの約1.5倍の量を消費している。また消費者の70%の人がトイレットペーパーの目的以外の使い方をしていることが判った。例えば、洋式便器を外出先で使用する場合には、便坐を使用前にふく。あるいは便坐に敷いて使用するなどの使われ方をしている。また、下水道の普及に従ってちり紙からトイレットペーパーへの転換も毎年進んでいる。


(3)ペーパータオル


最近日常生活でペーパータオルに触れることが多くなって来た。 トイレットの洗面所に手拭きのペーパータオルが設備されているところも増えている。キッチン用のペーパータオルも確実に増加している。それでもペーパータオルはアメリカの約23分の1であり、1人当り使用量では約11分の1である。今後我が国でも成長が期待される商品である。